第二言語習得 (SLA) の観点から瞬間英作文の効果を考える

SLAと瞬間英作文の関係

世の中で瞬間英作文は効果があると言われ、私自身も効果を感じているのですが、言語習得の理論上はどのような位置付けなのでしょうか。

言語習得の理論には第二言語習得(Second Language Acquisition、略してSLA)という理論があります。

これは日本人が英語を習得するように、母語以外に2つ目以降の言語をどのように身につけることができるのかについて研究する分野です。

瞬間英作文は「やってみたら効果があったのでおすすめ!」といった、実践に基づく評価が多い一方で、理論上どのようにその効果が見込まれるのかを説明されているケースは少ないと感じます。

自分が学習に採用しているメソッドが理論的にも正しいものであるという自信は、長期的な学習のモチベーションになりますので大切なことです。

今回はSLA分野の研究を推進している、元立教大学外国語教育センター教授で現在は明治学院大学国際学部国際学科教授の新多了先生の書籍「英語の学び方入門」をもとに、SLAの全体像と瞬間英作文の位置付けおよび期待効果を解説します。

瞬間英作文の効果を、理論的にも理解したい方はぜひ参考にしてください。

 

この記事の執筆者:Leo

  • 日本生まれ日本育ち、海外在住経験ほぼゼロ。
  • 国内学習で英語力をアップ。
  • 現在の英語力は外資系企業でネイティブとガンガン議論できるレベル。
  • これまで長期に渡り様々な手法で英語力アップにコミットし、ときには挫折し、ときにはうまくいった経験から、読者に有益で再現性のある情報を届けたい。
  • BizSprinto開発チームの一員。

 

目次

第二言語習得の6つのプリンシプル

新多先生によると、第二言語習得には以下6つのプリンシプルがあります。

プリンシプルは学習の指針で、プリンシプルをもとに何を学習すべきか各々で考え、自律的な学習者となることを目指すということです。

一つずつ、簡単にまとめます。

1. 英語を使っている自分の姿を思い描く

プリンシプルの1つ目は、まずは「英語を使っている自分の姿を思い描く」というものです。

英語を学んで何をしたいのか、どんな自分になりたいのか、きちんと考えましょうということです。

英語学習ではモチベーションが大事で、この「英語を使っている自分の姿を思い描く」ことがモチベーションの源泉であると書籍では述べられています。

モチベーションが大事というのはあまりに当たり前ですが、筆者も英語を身につけられるかどうかのボトルネックは結局モチベーション、という気がします。

特に以下3つの条件が重要であると書籍には記載されています。

  • 思い描いている将来像が「具体的で鮮明であること」
  • 実現可能性が高いと(自分が)感じること
  • 定期的に理想像を思い出すこと

英語に関わらず大事なことですね。

私は年末年始にその年の目標を書き出しますが、特に3つ目の「定期的に理想像を思い出すこと」が難しいなと感じます。

スマホやPCの壁紙にしたり、家の壁に貼ったり、何か目につくところに貼っておくと良いのかもしれません。

また、将来像を「具体的で鮮明に」描くということも学習方針に影響するので重要だと思います。

例えばビジネスパーソンであれば、「グローバルに活躍したい」というざっくりしたものでは不鮮明で何をどう学習したら良いかぼやっとしてしまいます。

「3年後にアジアのビジネスマネジャーになって、アジア各国に部下を抱え、ビジネスを成長されられるリーダーになる」くらいの方が、学習のロードマップが作りやすいでしょう。

シンガポールやオーストラリアのアクセントに慣れるリスニング力や、社内コミュニケーション、プレゼンでの表現を身につける必要が出てきます。ファイナンスなど英語以外のビジネススキルを英語で学ぶ必要も出てくるでしょう。

具体的であれば具体的であるほど良いですね。

2. ロードマップをつくり、たえず更新する

書籍では、設定した将来像に向けてのロードマップ作成とその更新の必要性が説かれています。

  • 長期目標にたどりつくまでの「中期目標」「短期目標」を設定すること
  • 中期目標・短期目標はできる限り具体的で測定可能なものを設定すること
  • 挑戦的で、かつ達成可能な目標を設定すること
  • 短期・中期目標は常にアップデートを続けること

上記がロードマップ作成のポイントであるとのことです。

具体的で測定可能な中期・短期目標を設定し、それをクリアしていくと長期目標を達成できる設計にするということですね。

私は長期目標は例えば「〇〇になりたい」などの理想像で、中期・短期目標は例えばTOEFL〇〇点、英検1級取得のような、試験の点数目標が良いと思っています。

また、短期目標では1日30分の学習、1日1,000語程度話す、といったものでも良いでしょう。

数字があって具体的に達成可否が測れるのが良いと思います。

3. 習慣的に学ぶシステムをつくる

第二言語習得、というか何かを身につけるためには学習習慣が大事、というのは誰もが理解していることだと思います。

ただそう簡単にはいかないので英語学習につまづく人が多いのでしょう。

書籍ではスティーブン・ガイズ氏の「小さな習慣」を引用して、以下の「習慣化する兆し」について語られています。

  • 抵抗がなくなる。しないよりもする方が簡単だと感じる。
  • 行動が自分の一部になり、一体感を感じる。
  • 意識して決断しなくても、その行動を始めている(無意識の行動)。
  • 続けられないかもしれないという不安がなくなる。
  • 習慣が感情に左右されなくなる(日常化)。

上記は理解できますが、習慣化のブレイクスルーはなかなか無いものだなぁと感じるものです。

私は朝を英語学習の時間に充てていますが、何か仕事などで重要なことがあるとつい後回しになる傾向があります。

自分のライフスタイルに合わせて試行錯誤していくしかないと思いますし、その習慣化を諦めない根底としてプリンシプル1の理想の将来像を描くことが効いてくるのでしょう。

4. 「知識」と「スキル」のバランスをとる

英語では、知識は語彙と文法に、スキルはリーディングやリスニング、ライティング、スピーキングに分けられます。

この知識とスキルについて著者は以下のように述べています。

  • 知識は、訓練によってスキルに変換することができます。
  • 知識は、専門的には「宣言的知識」と呼ばれます。宣伝的知識とは、言葉で説明できる知識です。
  • これに対し、スキルは「手続き的知識」と呼ばれます。
  • これは何らかのプロセス(手順)に関する記憶を指します。
  • スキル学習理論では、練習を重ねることで、宣言的知識が手続的知識に変化する、と考えます。つまり、練習をすれば知識がスキルになる、ということです。
  • 繰り返し練習することで知識がスキルに変わることを、「自動化」と呼びます。

要は知識を得て、練習すれば身につきますよ、といっているわけで当たり前に感じる人も多いのではしょうか。

第二言語学習において、理論的にそれが裏付けられているということですね。

日本人に知識は多いが話せない人が多いというのは、繰り返しの練習が足りておらず「自動化」に至っていないからなのでしょう。

5. 「インプット」と「アウトプット」のバランスをとる

ここでいうインプットとはリーディングとリスニング、アウトプットはライティングとスピーキングを指します。

インプットとアウトプットの関係について、書籍では以下のように述べられています。

  • 理解可能なインプットを受け、それをアウトプットすることで相乗効果が期待できます。
  • アウトプット仮説によれば、アウトプットのポイントは「気づき」と「文法の意識化」です。
  • アウトプットは自分の英語の知識が充分で無いことに気づく機会を与えてくれます。これを「穴に気づく」(noticing a hole)と言います。
  • 実際にアウトプットして初めて、「この単語を知らなかった」「現在完了形の文を話せなかった」など、自分の知識やスキルの穴に気づくことができます。

これは私もとても共感するポイントです。

実際に話したり書いたりしないと自分が今何ができないのか、それを本当に理解することができません。

リーディングやリスニングといったインプットのみだと何となく読めたり聞けたりするので、自分が分かっていない・使えるようになっていない箇所に気づくことができません。

アウトプットこそが改善の余地に気づかせてくれるものと思います。

特に文法についての気づきはアウトプットで得られるもので、著者も以下のように述べています。

  • アウトプットは文法処理を促してくれます。
  • インプット処理をしているときは、あまり文法まで注意がいかないのです。
  • これがアウトプットになると、「語順はどうすればいいか」「動詞はどのような形にすべきか」「前置詞はどれにするか」等々、さまざまな文法的側面に注意を向けざるをえなくなります。

6. 「個人」と「協働」のバランスをとる

6つ目のプリンシプルは個人学習と協働学習のバランスについてです。

著者は学習の基本は個人学習であると述べていますが、その課題としてモチベーション維持をあげています。

対して協働学習は個人学習と比較して非効率になりやすいが、以下のようなメリットもあると述べています。

  • 協働学習のメリットは、モチベーションが維持しやすいことです。
  • 協働学習はモチベーションの維持に有効であるとともに、社会的スキルを身につける機会にもなります。
  • このスキルがあると、分からない問題に遭遇したときに、自分一人で悩むのではなく、他者に相談して助けを借りるという選択肢をとることができます。

この協働学習のメリットは私もとても感じるものです。

私は現在いくつかの勉強会グループに参加し、ファイナンス理論を他の人と一緒に学んだり、自己啓発書を読書会のような形で一緒に読んで感想を言い合うなどしています。

ファイナンス理論は分厚い本やモデリングのファイルを用意し、高度なところまで学習しているのですが、絶対に一人では学習が進みませんでした。

他者と一緒にやっているのでモチベーションが湧いて続けられることや、分からないことがあった時にメンバーとディスカッションすることで何とか続けられています。

自己啓発書の読書会も、自分一人で読んでいただけでは得られない気づきや、自分の感想をアウトプットすることでより思考が深まるなどのメリットを感じています。

特に協働学習というワードやその効果を狙って始めたものではありませんでしたが、著者がいう効果をまさに感じているものです。

瞬間英作文の効果はプリンシプル4と5で説明されている

さて、本題の瞬間英作文と第二言語習得理論との関係について考えたいと思います。

瞬間英作文の効果は、上記のプリンシプルの4と5に密接に関係していると考えます。

プリンシプル4では知識をスキルに変えるためには繰り返し練習することが良いと言われています。この繰り返しの練習こそが瞬間英作文が活躍するところです。

瞬間英作文では語彙や文法知識がある程度あることを前提に、それを使えるレベルに引き上げるために繰り返し練習します。

日本文を見て場面を思い浮かべ、瞬時に英語で話すというトレーニングを経て、知識からスキルへの変換を図ります。

これは英会話学校で話すなどと比べて圧倒的に「繰り返し」の練習効率がよく、プリンシプル4を体現していると言えるでしょう。

また、プリンシプル5で述べられている「穴に気づく」効果もあります。

瞬間英作文をやっていると、自分が理解していない文法に気づくことができます。

たくさんの例文に触れている中で文法的に理解が曖昧な例文に出会い、それを調べて理解するというプロセスで知識レベルも上がることでしょう。

改めて瞬間英作文は訓練によって知識をスキルに変換することを狙ったものであること、および、知識の穴を見つけて知識レベルをアップするものであることを認識しましょう。

このように自分が取り組む学習メソッドがどのプリンシプルに当てはまるのかを意識しておくと、学習の期待効果を正しく捉え、集中して取り組めることでしょう。

瞬間英作文の次は実際に人と話してみる

瞬間英作文トレーニングで練習を積んだら、次は実際に外国人などと英語で話をしてみましょう。

本当に知識がスキルになる瞬間というのは、実際の会話の中で「使えた」という達成感を得た瞬間です

例えばビジネスの現場であれば、プレゼンテーションなどで実際に使ったフレーズや、とっさの質問に答えた時に使った語彙などは強烈に自分の中に残ります

また、言いたいことが言えなかった際の「知識の穴」にも、悔しい思いと共に強烈に記憶に残ります。

このような経験こそが英語のスキルを上げることにつながるでしょう。

今回ご紹介した書籍の論調と似ているのですが、私は英語学習は「知識」「練習」「経験」の3つが大事だと考えており、瞬間英作文で「練習」した後は、実際の場で話す「経験」をもってして本当に自分の英語になると思っています。

積極的に「経験」の場にチャレンジしましょう。

最近はAIと話すことである程度の経験を得ることができますが、強烈に印象に残るのはやはり外国人と実際に話をした時なので、そのような機会を探すと良いでしょう。

ビジネスパーソンならBizSprinto 7秒瞬間英作文

BizSprinto 7秒瞬間英作文

最後に筆者のチームが提供しているアプリを紹介させてください。

上記まで読んで瞬間英作文に興味を持った方、このアプリはコスパが良いのでぜひ試していただけたらと思います。

BizSprinto 7秒瞬間英作文」は、7秒以内に回答というゲーム性やユーザーの録音機能、解答への解説機能、自作の英作文登録機能など、瞬間英作文トレーニングに必要な機能を網羅的に揃え、月額500円と継続しやすい価格設定のアプリです。

これから瞬間英作文トレーニングに取り組んでみようと考えているビジネスパーソンは、まずはこのアプリを試してみていただけたらと思います。

ダウンロードは無料で全体的にアプリの機能をお試しいただけます。

ダウンロード後に数日経って自動でサブスクリプション費用が発生するということはありません。

ぜひ一度ダウンロードしてみてください。

BizSprinto 7秒瞬間英作文(App Store)

よかったらシェアしてね!
  • URLをコピーしました!
  • URLをコピーしました!
目次